サーバー(VPS)を借りて ARK: Survival Evolved の個人サーバー(非公式サーバー)を設定・構築した手順についてご紹介させていただきます。仲間内で楽しくマルチプレイできるようになりますので、作り方の参考になれば幸いです。
本記事では Windows での構築方法をご紹介しています。Linux でのサーバーの立て方については以下の記事をご参照ください。
【ARK:
Survival Evolved】個人サーバを構築しよう
目次
ARK: Survival Evolved とは
以下の記事の冒頭で軽くご紹介していますので、よろしければそちらをご参照ください。
【ARK: Survival Evolved】個人サーバを構築しよう(Linux編)
個人サーバ(非公式サーバ)とは
こちらも以下の記事で軽くご紹介していますので、よろしければそちらをご参照ください。
【ARK: Survival Evolved】個人サーバを構築しよう(Linux編)
個人サーバを立てるまでの大きな流れ
個人でサーバをレンタルして ARK のサーバプログラムを動かす場合、大きくは以下の流れとなります。
- サーバ(VPS:仮想プライベートサーバ)をレンタルする
- サーバに ARK: Survival Evolved のサーバプログラムをインストールする
VPSサービス
私は以下の VPS で問題なく遊べることを確認しています。
さくらのVPS の場合、クレジットカード決済であればお試し期間として 2週間は無料でサーバが使えます。お試し期間中であれば申し込みをキャンセルすることができますので、サーバが急きょ必要なくなったり、うまく構築できなかった時にも安心です。ただし、お試し期間が過ぎると最低利用期間(3ヶ月)が設けられていますので、途中で解約ができません。
一方、ConoHa には無料期間はありませんが、時間単位の課金なので解約した場合の出費が最小限に抑えられます。途中解約する可能性があるなら、ConoHa が無難だと思います。
上記の VPS を選んだのは以下の理由からです。
- 実装メモリが少ない場合、ARK を起動するためにハードディスクを仮想的なメモリとして使う必要があるため、ハードディスクに高速な SSD を採用していることが必要
- 通信量の制限がない
契約プラン
メモリ2GBプランでも動作はするものの、頻繁にラグが起きていたため、少なくとも 4GB以上のプランが個人的にはオススメです。
個人サーバへのサーバプログラムのセットアップ
サーバに接続
リモートデスクトップでレンタルしたサーバに接続(ログオン)するか、VPSサービス側が提供しているコンソールの機能でサーバのデスクトップを開きます。
参考:コンソールの開き方
さくらのVPS:https://manual.sakura.ad.jp/vps/server/console.html
ConoHa:https://support.conoha.jp/v/console/
仮想メモリの拡張
ARK のサーバプログラムは最低でも 6GB のメモリを必要とするとのことです。メモリ 2GB のプランでは足りないため、ハードディスクの領域を仮想的なメモリとして割り当てます。
※6GB 以上の十分なメモリを持ったマシンであれば、この操作は不要です。
コントロールパネルの [システム] を開く
「Windowsキー」+「Pauseキー」のショートカットキーでも開けます。
[システムの詳細設定] を選択

[詳細設定] タブの [パフォーマンス]→[設定] をクリック

[詳細設定] タブの [仮想メモリ]→[変更] をクリック

[すべてのドライブのページファイルのサイズを自動的に管理する] の選択を解除
[カスタムサイズ] を選択し、初期サイズと最大サイズを入力して [設定] をクリック後、[OK] をクリック
例では 10GB(10240 MB)を割り当てています。

設定完了後、再起動を促すダイアログが表示されますので、[今すぐ再起動する] をクリックするか、手動で OS の再起動を行います。
サーバプログラムのインストール
SteamCMD というプログラムをダウンロードし、SteamCMD を使って ARK のサーバプログラムを Steam からインストールするという流れになります。
ブラウザのインストール(任意)
この後でインターネットからファイルをいくつかダウンロードしますが、標準ブラウザの Internet Explorer(IE)だと、セキュリティのポップアップが何度も表示されて煩わしいです。
先に Google Chrome や Firefox などのブラウザをインストールしておくことをお勧めします。
ブラウザのインストーラをダウンロードする時に、「現在のセキュリティ設定では、このファイルをダウンロードできません。」と表示される場合は、以下の記事でご紹介している対処を試してみてください。
Windows Server の IE でファイルがダウンロードできない
SteamCMD をダウンロードするフォルダを作成
例では、Cドライブ直下に「SteamCMD」というフォルダを作成しています。
SteamCMD をダウンロード
ブラウザに以下の URL を入力し、SteamCMD を先ほど作成したフォルダにダウンロードします。
https://steamcdn-a.akamaihd.net/client/installer/steamcmd.zip
なお、Windows のサーバOS では Internet Explorer のセキュリティが高く設定されているため、以下の画像のようなポップアップが表示されます。[追加] ボタンをクリックして信頼済みサイトに対象ホストを追加してから、[閉じる] ボタンをクリックしてください。後ほど DirectX のランタイムをダウンロードする際にも同じメッセージが多く表示されますので、同様に信頼済みサイトに追加します。
SteamCMD を展開
ダウンロードした steamcmd.zip を右クリックして中身のファイルを展開します。
コマンドプロンプトを開く
「Windowsキー」+「Rキー」のショートカットキーで [ファイル名を指定して実行] ダイアログを表示します。
その後、テキストボックスに「cmd」と入力し、 [OK] を選択します。
SteamCMD の展開先フォルダに移動
>cd C:\SteamCMD\steamcmd
SteamCMD を実行
>steamcmd
ARK のサーバプログラムのインストール先ディレクトリを設定
Steam>force_install_dir c:\Steam\Game\ARK\
インストール先のパスはお好みで変更してください。
匿名ユーザとしてログイン
Steam>login anonymous
ARK のサーバプログラムをダウンロード
Steam>app_update 376030 validate
validate はダウンロードしたファイルが正常かどうかチェックしてくれるオプションです。チェックには時間が掛かりますので、お急ぎの場合はこのオプションは削ってください。
「376030」は Steam で管理されている ARK のサーバプログラムの ID を示しています。
余談ですが、他ゲームのプログラム等についても同じように ID を指定すればダウンロードできるようです。もし Steam の他のゲームでサーバを立てることがあれば、役立つことがあるかもしれません。
Steam 上のゲーム等の ID は以下のサイトで調べることができます。
SteamCMD を終了
Steam>exit
DirectX のランタイムコンポーネントをインストール
ブラウザで DirectX を検索し、インストーラをダウンロードしてインストールします。
ランタイムをインストールしないと、ARK の起動時に「コンピューターにXAPOFX1_5.dllがないため、プログラムを開始できません。この問題を解決するには、プログラムを再インストールしてみてください。」というエラーが表示されます。
Webインストーラ(dxwebsetup.exe)の場合、Windows Server 2022 だと「ファイルをダウンロードできませんでした。後でもう一度実行するか、ネットワーク接続を確認してください。」というエラーが表示されました。
もし同じようなエラーとなった場合は、以下のページから DirectX エンドユーザー ランタイムのインストーラ(directx_Jun2010_redist.exe)をダウンロード・実行してみてください。
サーバプログラムの起動
ARK のサーバプログラムを起動
コマンドプロンプト上で以下のコマンドを入力します。
>cd
c:\Steam\Game\ARK\ShooterGame\Binaries\Win64
>ShooterGameServer TheIsland?Listen?SessionName=<セッション名>?ServerPassword=<ログインパスワード>?ServerAdminPassword=<管理者パスワード> -NoBattlEye
マップ名を指定しています。遊びたいマップに合わせてパラメータを変更してください。
指定できるパラメータについては以下のページの [GameUserSettings.ini] セクションが参考になります。
Server Configuration/ja
Server
Configuration ※英語ですが、こちらのページの方が情報が新しいです。
遊ぶマップ | 指定パラメータ |
---|---|
The Island | TheIsland |
The Center | TheCenter |
Scorched Earth | ScorchedEarth_P |
Ragnarok | Ragnarok |
Aberration | Aberration_P |
Extinction | Extinction |
Valguero | Valguero_P |
Genesis: Part 1 | Genesis |
Crystal Isles | CrystalIsles |
Genesis: Part 2 | Gen2 |
Lost Island | LostIsland |
ゲームのサーバリストに表示されるセッションの名前です。一緒にプレイする仲間が判別し易いような分かりやすい名前を付けると良いと思います。
例:
SessionName=TaroImoWin
ARK のクライアントからゲームにログインする時のパスワードです。このパスワードは一緒に遊ぶ仲間にも伝えてください。
例:
ServerPassword=PassW0rd
ゲーム内で管理者機能を使う際に必要なパスワードを設定します。
例:
ServerAdminPassword=AdPassW0rd
クライアント側で ARK を起動する際、プレイヤーのチート行為を防止するための BattlEye というプログラムをインストール・起動するか確認されます。
初期設定では BattlEye を起動していないとプレイできないようになっているため、「-NoBattlEye」オプションを付けて、BattlEye を起動していなくてもゲームをプレイできるようにしています。
サーバプログラムを起動すると別のウィンドウが立ち上がります。そこに以下のようなメッセージが表示されれば、起動完了です。
メッセージが表示されるまで 10分程度は掛かりますのでお待ちください。
Full Startup: XXX.XX seconds (BP compile: X.XX seconds)
Number of cores X
接続ポートの開放
ARK では以下のポートを外部からの通信に使います。外部からサーバの以下のポートに対して通信が可能となるように、許可設定を行います。
- 27015/udp
- 7777/udp ※
- 7778/udp
※私の環境では 7777/udp を許可しなくてもプレイできたのですが、インターネット上の情報だとポートの開放が必要みたいなので、念のため開放しています。
なお、ゲームに必要なポート開放の手順については本記事でご紹介していますが、一般的なセキュリティ対策として実施しておきたい Windowsファイアウォールの設定について以下の記事でご紹介していますので、そちらもできれば実施してください。
VPSを借りたら絶対にやっておきたいWindowsファイアウォールの設定
Windowsファイアウォールの設定画面を開く
「Windowsキー」+「Rキー」のショートカットキーで [ファイル名を指定して実行] ダイアログを表示します。
その後、テキストボックスに「wf.msc」と入力し、 [OK] を選択します。
[受信の規則] で [新しい規則] を選択
ポートの通信許可設定を追加
以上でサーバ側の準備は完了です。
ゲームクライアントから個人サーバに接続してプレイするには
Steam のクライアント側でメニューから [表示]→[サーバー] を選択します。

[サーバーを追加] ボタンをクリックします。

サーバのホスト名やIPアドレスを入力し、[このアドレスをお気に入りに追加] ボタンをクリックします。

すると、以下のようにお気に入りにサーバが追加されます。
Linux で個人サーバを構築した際はここで [接続] ボタンをクリックして接続できていたのですが、なぜか Windows の個人サーバだと [接続] ボタンではうまく接続できません。

そこで、ARK のクライアントを通常通り起動します。

クライアントが起動したら [ARKを始める] を選択し、セッションフィルターを「お気に入り」に設定します。
先ほどお気に入りに追加した個人サーバが表示されますので、選択して [参加] をクリックします。
サーバプログラムを終了するには
サーバプログラムを終了するには、ゲーム内で管理者コマンドを使います。
ゲーム内で Tabキーを押し、コンソールを表示した後、以下のコマンドを入力し、管理者コマンドの利用を有効にします。
> enablecheats <管理者パスワード>
パスワードはサーバ起動時に「ServerAdminPassword=<管理者パスワード>」で指定したパスワードです。
例: enablecheats AdPassW0rd
次に以下のコマンドを入力し、サーバプログラムを終了します。
> adminCheat DoExit
サーバプログラムを終了させるのにいちいちゲームにログインするのが面倒という人は、RCONという仕組みを使って管理者コマンドをゲーム外から実行することができます。以下のページでご紹介していますので、気になる方はそちらもご参照ください。
【ARK: Survival Evolved】RCONによるゲーム外からの管理者コマンド実行
詳細なゲーム設定
サーバプログラムの詳細なゲーム設定は「GameUserSettings.ini」や「Game.ini」というファイルに記述されています。
設定ファイルのパス
[ARKのインストールパス]/ShooterGame/Saved/Config/WindowsServer/
- GameUserSettings.ini
- Game.ini
例:
C:\steam\Game\ARK\ShooterGame\Saved\Config\WindowsServer\GameUserSettings.ini
C:\steam\Game\ARK\ShooterGame\Saved\Config\WindowsServer\Game.ini
設定方法
設定ファイルには「パラメータ名=値」の形式でパラメータが一行ずつ記載されています。
例えば、恐竜のテイム速度を3倍にするには以下の行を GameUserSettings.ini 内の [ServerSettings] セクション下にメモ帳(notepad)等で追記します。
また、生鮮食品の腐敗時間を5倍にするには以下の行を Game.ini 内の [/script/shootergame.shootergamemode] セクション下にメモ帳(notepad)等で追記します。
Game.ini の [/script/shootergame.shootergamemode] セクションは初期状態では記述されていませんので、忘れずに入力してください。 本セクション名を記述していないと設定が認識されず、サーバプログラムの起動時に設定ファイルがリセットされる可能性があります。
各設定ファイルは ARK のサーバープログラムを終了した状態で変更してください。もしくは、設定の変更後にサーバープログラムを再起動してください。
設定できるパラメータについては以下のページの [GameUserSettings.ini] セクションや [Game.ini] セクションが参考になります。お好みで設定を変更してください。
Server Configuration/ja
Server
Configuration ※英語ですが、こちらのページの方が情報が新しいです。
なお、上記の設定ファイルに記述していない設定項目については、初期設定が適用されます。初期設定の値についても、上記ページをご参照ください。
最後に
Windows のサーバの方が若干料金が高く、構築の手間も Linux とそれほど変わりません。ですが、Windows の画面の方が慣れていて心理的な安心感がある方も多いと思います。
私が試した限りでは Windows サーバ上でも問題なく動作していますので、Windows なら構築を試してみようかなと思われている方のご参考になれば幸いです。
皮脂や唾、手垢、汗などで表面は見えない雑菌だらけです。 衛生上も問題ですし、気持ち良く使うためにも、こまめに拭きとってキレイにしましょう。