「なろう系」作品の中で、定期的に読み返したくなるオススメの作品をご紹介させていただきます。
ありがちな俺TUEEEチート系の作品はなく、これだけは読んでほしいという面白い作品を厳選しています。
「なろう系」と一口に言っても、異世界転生・転移やタイムループ、内政、勘違い、悪役令嬢など、様々なジャンルがあります。 ジャンルにこだわらずに掲載していますので、もし知らない作品がありましたら、ぜひ試していただけると嬉しいです。
目次
淡海乃海 水面が揺れる時
要素
内政、転生、戦国時代、弱小国
ストーリー
50歳を過ぎ、戦国時代への転生ものの小説を書こうとしていた主人公は、戦国時代の近江国(現在の滋賀県)にある小さな朽木(くつき)家の跡取り「竹若丸」として転生します。
ところが、竹若丸が 2歳になった頃、戦により父親が死亡します。敗戦により浮足立つ家臣達を幼児ながらも一喝して場を収め、朽木家の当主に就任します。
朽木家よりも遥かに大きな武家達に周囲を囲まれた危険な状況で、歴史の知識をうまく使いながら天下統一を目指して戦国の世を生き抜いていきます。
見所
朽木家の成長
三好家や六角家など、朽木家では相手にならない圧倒的強者が周囲を囲んでいます。 そんな中で、小さなチャンスを逃さず、地道に少しずつ勢力を大きくしていきます。
広く人材を受け入れ、調略などを駆使して少しずつ朽木家が成長し、圧倒的強者であった武家達に並ぶまでに成長していく様が面白く、先が気になってどんどん読めてしまう作品です。
家臣との信頼関係
現代人である主人公は、忍や外様の家を差別しない、家臣やその家族を気遣う、など武家らしからぬ行動を取ります。 周囲は最初こそ戸惑いますが、その有難みを体感し、主人公や朽木家に対して心酔していきます。
現代では当たり前の主人公の価値観や行動に感動する家臣達の心情描写には感動すること間違いなしです。 また、変わり者の主人として家臣達からもからかわれる温かい主従関係も見所です。
家族との愛情と苦悩
朽木家が大きくなるに連れ、主人公には嫁が増えていきます。 ありがちなハーレム展開ではなく、政治的な事情や敗北した武家が後世まで家を残すために主人公の側室にならざるを得ないという、戦国時代ならではの事情が絡んできます。
現代のように恋愛結婚ができない中で、主人公が正室・側室達を気遣い、愛情や信頼を育んでいく描写は読んでいて心が温かくなります。
一方で、朽木家当主という大きな責任を継がせることに負い目を感じながら子供に厳しく接する親としての苦悩も丁寧に描かれており、心が動かされます。
知識チートに頼らず練られたストーリー
当主に就任した序盤こそ清酒や石鹸の製造、楽市・楽座など、転生前の知識を使いますが、それ以降は現代の知識をあまり使いません。 現代の知識を使っても過去の時代でできることはたかが知れており、多少有利にできたところで覆せないほどの周囲との戦力差があります。
また、主人公の活躍により、史実からも状況はどんどん離れていきます。
知識チートというより、あくまで戦国時代の背景や文化、史実での出来事を考慮した上で、主人公が悩み抜いて朽木家が生き残るための道を模索していく所が見所です。
淡海乃海 羽林、乱世を遡る
要素
内政、転生、戦国時代、弱小国
ストーリー
上述の「淡海乃海 水面が揺れる時」のIFストーリーです。
戦国時代の朽木(くつき)家の跡取り「竹若丸」として転生した主人公でしたが、本来のストーリーとは異なり、父親が戦死した際に当主になれず、母親の実家を頼って公家になります。 その後、足利の室町幕府と三好家の争いに巻き込まれた流れで宮中に入り、朝廷内での地位を着実に高め、戦国の世を公家として生き抜いていきます。
見所
オリジナル版との人間関係の変化
公家という立場になったことで、オリジナル版では好意を持たれていた人物から敵意を持たれるなど、関係性が大きく変わっており、とても新鮮です。
また、情勢の変化もオリジナル版とは全く異なる流れになっており、別作品として安心して楽しむことができます。
帝からも頼られる主人公
この時代の公家はほとんど力を持っておらず、武家にいいように翻弄されています。 そんな中で、対等に武家と駆け引きを行い、武家を手玉に取る主人公がとても頼もしく、近しい関係者だけでなく帝までもが幼い主人公を頼りにします。
主人公に任せておけば大丈夫という安心感と、関係者達が主人公に感じている絶大な信頼や畏怖の心理描写が読んでいて心地良いです。
織田信長との強力なタッグ
オリジナル版ではお互いに好感を抱いているものの、武家である以上、織田信長とは天下統一のためにどちらかがいずれ上に立たなければなりません。
しかし、この作品では公家と武家という競合しない異なる立場から協力関係を築いています。
オリジナル版での主人公への織田信長の心情描写を読んだ後にこちらの作品を読むと、本当にこのタッグが実現して良かったと嬉しくなります。 2人の息の合った掛け合いも見所です。
子を想う親の愛情
全く幼児らしからぬ反応をする主人公に対しどう接してよいか分からず、実母は再婚して主人公の元を離れます。 一方で、主人公を預かった実母の妹は、ありのままの主人公を受け入れ、養母として惜しみなく愛情を注いでくれます。
主人公との関係性を悩む実母の苦悩や、主人公の助けになりたいと願う養母の愛情の心情描写に心を動かされます。
その他にも、足利義輝を見放すことができない母や乳母、浅井家から離縁された娘(小夜)を案じる父など、子を想う親の心の描写が秀逸です。
俺の死亡フラグが留まるところを知らない
要素
戦闘、ゲームへの転生、中世ヨーロッパ風、剣と魔法
ストーリー
大学生の平沢一希は、ふと気付くと自分がやり込んでいた RPG のハロルドというキャラクターに憑依していました。
ハロルドは作中屈指の嫌われ役で、将来はゲームの主人公達の敵となり、死ぬ運命にあります。 かといってストーリーに沿わない動きをして主人公達がラスボスを倒さないと、世界は滅亡してしまいます。
そんな死亡フラグを回避し、原作で不遇な扱いを受ける人々を助けながら、主人公達が世界を救えるように立ち回っていくストーリーとなっています。
見所
勝手に変換される不遜な言動
本人は普通に話そうとしているのに、ハロルドに憑依している影響でなぜか傲岸不遜な言葉に変換されて喋ってしまいます。
思っている内容は丁寧なのに、実際に口から出てくる言葉がぶっきらぼうで、なんでそんな言葉に変換されるのか、というギャップが面白いです。
また、言葉が変換されるせいで、何気ない一言を周囲が勝手に深い意図があると勘違いしてしまう場面もあります。
最低評価からの信頼獲得
ハロルドの両親は選民思想の貴族で、自分たちのことしか考えておらず、領民は苦しい生活を余儀なくされています。
表では両親と同じような振る舞いを演じ周囲から恐れられているハロルドが、隠れて人々のために行動することで、一転して周囲の信頼を得ていく様が非常に痛快です。
ハロルドを慕う周囲の信頼
乱暴な言葉遣いや表立って活動できないこともあり、ハロルドは人々からの悪評を受け入れています。
それに対してハロルドに近しい人達は、両親を欺くためにハロルドがそのような態度をとっているのだと勘違いしており、ハロルドに全面的に協力をしてくれます。
ハロルドがどんなに愛想のない態度をとっても、これまでのハロルドの行いに感謝し、助けようとしてくれるキャラクター達の行動や心情描写に、読んでいて心が温かくなります。
健気な婚約者
ハロルドは悪評ばかりの自分といると不幸になると考え、婚約者のエリカを遠ざけようとします。
一方で、エリカは悪評が事実ではないことを知っていますが、悪評を甘んじて受け入れているハロルドの意志を尊重して、知らないふりをして素っ気ない態度をとっています。
本当は好きと言いたいのに我慢して寄り添い続ける健気な姿や、たまに見せるハロルドの優しさに悶えるエリカがとても可愛いです。
ゲーム知識を活かした周囲を驚かせる立ち回り
ハロルドはゲームのストーリーを知っているため、先回りして手を打ったり、必要に応じて重要な情報を関係者に明かしていきます。
ハロルドの未来を見通した行動や本来知り得ない事実を伝えられた時の周囲のキャラクター達の驚いた反応が、読んでいてとても痛快です。
ティアムーン帝国物語
要素
恋愛?、内政、勘違い、時間逆行、中世ヨーロッパ風
ストーリー
ティアムーン帝国の皇女である主人公ミーア・ルーナ・ティアムーンは、革命により断頭台(ギロチン)で処刑されてしまいます。
次に目が覚めると処刑される八年前に戻っており、夢での出来事だったと安堵するのも束の間、側にあった血染めの日記帳に未来での牢獄での苦しみ、断頭台への恐怖などが書かれていることに気付きます。
民衆による革命が現実に起こり得る未来だと感じた主人公は、断頭台での処刑回避のため動き出します。
見所
圧倒的すれ違い感
主人公のミーアは、基本的に憶病な残念ポンコツ姫です。 自分が処刑されないように飢饉や疫病回避などに向けて行動していくのですが、民のために行動する貴族は帝国では珍しく、尊敬を集めます。
また、周囲の人々が深読みをしすぎて、主人公の自分重視・責任回避の言動からあるはずもない隠された意図を推測し、結果的に問題を解決してしまうため、「帝国の叡智」としてもてはやされます。
そんな周囲とのすれ違いで、うなぎ上りに主人公の評価が高まってしまうところが面白いです。
発言の意図にポンな所はありますが、他者への振る舞いがいつか自分に返ってくるということを身に染みて分かった上で行動している主人公にも好感が持てます。
主人公に心酔する仲間達
主人公の偉業は勘違いによって達成されていくのですが、仲間達はそんなことは知りません。 帝国だけでなく大陸全ての民の平和を願う慈悲深い叡智を持った存在として、主人公のことを敬っています。
主人公への評価が尊敬に変わる瞬間や主人公の言動・行動に対して畏敬の念を抱く際のキャラクター達の心情表現が秀逸で、読んでいるこちらも嬉しくなってしまうようなところが本作品の魅力です。
また、身近な人物だけでなく、国や身分を超えて色々な人物から慕われる場面が描かれており、主人公への尊敬の元に、主人公のいないところで結束していく様子も好きなところです。
陰の実力者になりたくて
要素
戦闘、勘違い、転生、中世ヨーロッパ風、剣と魔法、ダークファンタジー
ストーリー
陰の実力者(普段は力を隠し、事件の陰で圧倒的な実力を見せつける存在)に憧れていた主人公は、魔力を求めて修行をやり過ぎ、トラックに跳ねられて異世界に転生します。
転生後は順調に魔力操作を習得し圧倒的な力を手にしますが、ある日修行中に盗賊からエルフの女の子を助けます。 女の子が恩返しを申し出たため、魔人ディアボロスの復活を目論む教団と戦うという設定を作り上げ、配下として影の実力者ごっこに付き合ってもらうことにします。
ところが、実際に教団は存在しており、主人公が率いる組織「シャドウガーデン」とディアボロス教団との戦いが始まります。
見所
ずっとごっこ遊びのつもり
仲間は本気でディアボロス教団との戦いや諜報活動に臨んでいます。
一方で、主人公は仲間が設定に合わせて演技してくれていると思っており、本当に敵が実在する教団だとは思っていません。 場の雰囲気に合わせて影の実力者っぽい厨二病全開のセリフを適当に言いながら行動しているだけなのですが、その全てがなぜか的を射てしまいます。
そのため、主人公が何も考えずに発言する度に味方からの尊敬を集めたり、敵が驚愕するというすれ違いが非常に面白い作品となっています。
個性が強すぎるキャラクター達
腹黒王女、クズなモブ仲間など個性豊かなキャラクター達が多く登場します。むしろ、まともなキャラがほぼいません。
気持ちいいほどにみんな性格がぶっ飛んでいるので、一人ひとりのセリフやキャラクター同士の掛け合いがとても面白いです。
モブキャラムーブに全力を出す主人公
例えば吹き飛ばされるにしても、腰の角度、スピード、きりもみ回転、血のりなど、普段はモブキャラっぽい演出に余念がありません。
主人公のモブキャラを演じることへの強いこだわりと美学が愉快です。
シリアスなストーリー
コメディ要素だけの作品ではなく、魔人ディアボロスに関する事件はシリアスに展開されていきます。 また、血の表現も多く、容赦なく敵を殺していくダークファンタジー的な面もあります。
にも関わらず、シリアス展開の中に絶妙なバランスでコメディ要素が散りばめられていることで、気楽に読める作品に仕上がっています。
漫画版がオススメ
コメディ要素がこの作品の醍醐味の1つです。文章でも十分に楽しめますが、 キャラクター達の表情や状況などが視覚的に分かる漫画版の方が、よりコメディ要素を楽しめると思います。
漫画版ではキャラクター達が美しく描かれており、各場面を違和感なくクスッと笑えるように再現してくれているので読み易くてオススメです。
異世界薬局
要素
転生(憑依に近い)、医療、中世ヨーロッパ風、剣と魔法
ストーリー
新薬の研究に没頭し過労死してしまった薬学者は、異世界の宮廷薬師の息子として転生します。
現代の薬学の知識と転生によって得られた不思議な能力によって、その世界では未だ対抗策が解明されていない疾病に立ち向かっていきます。
見所
快復した人々の喜ぶ姿
細菌の存在も認知されていない時代で、治療方法が解明されていない疾病に多くの人々が悩まされています。
もはや治らないと諦めているところに主人公が現れ、救われる人々の喜ぶ姿に、心がスカッと晴れます。
感染症の流行と対応の緊迫感
地球においても過去に流行したことのある凶悪な感染症が、転生後の世界においても流行の兆しを見せます。
主人公1人でとても対処しきれるものではなく、感染者の検出方法の確立、治療薬の開発、水際対策、隔離処置など、多くの関係者の協力が必要です。
刻一刻と近づいてくるパンデミックの気配と、感染拡大を食い止めるために関係者が一丸となって懸命に対応する姿にハラハラドキドキします。
主人公の異常性を受け入れてくれる仲間達
記憶の一部が欠如、急激な魔力の増大、先進的な医療知識など、怪しい点が満載な主人公は、何かに憑りつかれていると疑われます。
それでも、困っている人を助けたいという真っすぐな想いを懸命に訴え、みんなが主人公に協力してくれます。
主人公が以前とは別人格であることを分かっていながらも、受け入れてサポートしてくれる家族や仲間達との関係性が素晴らしいです。
特に父親は、最初はとても厳しく頭が固そうなイメージがあったのですが、主人公からも真摯に知識を学ぼうとし、時には父親として息子をサポートしてくれる誠実な人物でとても好きになりました。 その他にも、皇帝陛下や神殿の神官長などのたくさんの魅力的なキャラクター達が主人公のことを全力でサポートしてくれる様子も魅力の1つです。
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん
要素
恋愛、悪役令嬢、中世ヨーロッパ風、剣と魔法、現代から異世界への干渉
ストーリー
王太子であるジークは、女生徒に勉強を教えていたところ、婚約者のリーゼロッテが現れ嫌味を言われます。
その時、2人の神の声がジークに突然聞こえてきます 。
神の声によると、リーゼロッテが極度の【ツンデレ】で、このままだと【破滅】を迎えるというのです。
彼女がツンな行動・言動を取るたびに神の声が彼女の本心を解説し、あまりの可愛さに悶えるジーク。
一方、2人の神の正体は、実はただの高校生でした。
乙女ゲームをプレイしながら 2人で実況・解説をしていたところ、どうやらその声がゲームの中のジークにだけ聞こえるようなのです。
神からの「実況」と「解説」という名の『神託』を頼りに、ジークは婚約者リーゼロッテの破滅エンドを果たして回避できるのか。
見所
第三者による解説という一風変わったテイスト
リーゼロッテがツンな行動・言動を取るたびに、「ジークが戸惑う」⇒「神による解説が入る」⇒「ジークが悶える」⇒「リーゼロッテに優しくする」⇒「リーゼロッテが赤面する」というパターンが入ります。
第三者により本心を熱く実況解説されてしまうというシュールな状況や、解説を聞いて相手の本心に悶えるという要素が、この作品ならではの特長であり、2人の恋の様子をより面白くしています。
リーゼロッテがただただ可愛い生き物
ツンな行動の裏に隠された本心がとても純粋なところや、優しい言葉を掛けられたり、ちょっと距離が近いだけであっけなく赤面してしまうリーゼロッテがとても微笑ましいです。
特に漫画版では恥ずかしがるリーゼロッテの姿がうまく表現されています。
純粋に誰かに側にいたい、誰かのためになりたい、という気持ちを楽しめる心の清涼剤のような作品です。
たまには現実味のある恋愛ストーリーから離れて、無償の愛を気軽に楽しむのもいいと思いました。
ジーク・リーゼロッテ以外の恋模様にも注目
神もとい高校生の遠藤くんと小林さん、本来のゲーム主人公であるフィーネの恋も進行していきます。
ジーク・リーゼロッテ以外にも違ったパターンの恋模様を楽しめるところも見所です。
皮脂や唾、手垢、汗などで表面は見えない雑菌だらけです。 衛生上も問題ですし、気持ち良く使うためにも、こまめに拭きとってキレイにしましょう。